個人事業主が法人化するベストタイミングは?

おはようございます。
フロンティア総合会計事務所』の谷です。

 

とても暑かった夏もそろそろ終盤となり、あと少しで秋になりますね。
しかしまだ暑い日々が続きますので、体調管理をしっかりと行っていきましょう。

 

さて、今回は個人事業主が法人化するタイミングについてのお話しです。
事業の収入も増え、所得も安定して出るようになった人は、
検討されたことがあるのではないでしょうか?

 

「いったいどのような人が法人化すると良いのか?メリットは?デメリットは?」
下記でご紹介していきたいと思います。

 

個人事業主?法人化?2つの判断基準

個人事業主の方が法人化するタイミングとして2つの判断基準があります。

 

1つめは・・・事業所得が多くなったとき
⇒条件にもよりますが、だいたい500万円前後から法人化が有利となります。

 

2つめは・・・取引先との関係、従業員雇用の観点から
⇒事業活動をより円滑にするために法人化が必要となる場合

 

では、具体的な事例を用いてご説明していきます。

 

<①事業所得が多くなったとき>
モデルケース:40歳。妻(扶養)、子ども12歳、8歳
事業活動で出た利益を事業所得といいますが、これが 500万円だった場合、
・所得税と住民税⇒86万円
・国民健康保険料と国民年金2名分⇒110万円
世帯の税金・保険料支出は196万円となります。

 

これを法人化した場合の計算を行ってみると、
事業主は役員となり、給与所得者となります。

 

500万円の利益は、役員の給与と法人の利益に分かれることになります。
ここでは給与420万円と法人利益80万円に分けてみます
・所得税と住民税⇒33万円
・社会保険料(健康保険+厚生年金)⇒61万
・社会保険料会社負担分⇒61万
・法人税均等割⇒8万円
・法人の利益に対しての税金⇒5万円  ※80万円-61万円(社会保険会社負担)=19万円×25%
全ての税金・保険料支出は168万円となります。

 

この計算でも分かるように、トータルの支出額は、
法人化したことによって28万円少なくすることができます。

 

法人化することによって、
「社会保険に加入が必要となる」というデメリットがありますが、
個人事業主が役員(給与所得者)になることによって、
「給与所得控除」というメリットも同時に発生するのです!

 

この支出の差額は給与所得控除によって生み出されたものであり、
法人ならではのものとなります。
条件により、500万円からとは限りませんが、
このくらいからメリットが出始めるといっても良いでしょう。

 

<②取引先との関係、従業員雇用の観点から>
・取引をするにあたって、法人化したほうが幅広く事業ができる
・従業員を雇いたいが、なかなか募集がこない
という状況になった人は少なくないと思います。

 

こういった場合には、多少の投資をしてでも法人化したほうが
今後の売上高に寄与することがあります。

 

では、法人化するメリットやデメリットはどのようなものがあるのか、次の項目で説明します。

 

個人事業主が法人化するメリット

「法人化のメリット」は下記の5つがあげられます。

 

① 個人事業よりも会社の方が信用度が高い。
会社であれば、個人事業より信用度が高くなります。
また、個人事業では、取引自体が出来ないというケースもあります。

 

② 節税面での対策としての選択肢が多い。
個人事業では節税できないケースでも、会社なら節税できるケースはたくさんあります。
また、法人税率と所得税率の差から、会社を設立するだけで節税になる場合もあります。

 

③ 金融機関からの融資が受けやすい。
個人事業を開始する場合と、会社を設立する場合では、
金融機関から融資を受ける際の条件が変わってきます。
一般的に、会社で融資を申込む場合の方が融資が受けやすくなっています。

 

④ 人材の採用がしやすくなる。
働く側に立った場合に、個人事業よりも会社の方が安心感があります。
自社で人材の採用がしやすくなるのと、人材確保には有利になります。

 

決算月を12月ではなく、自由に選択できる。
会社は決算月を自由に選択できます。
繁忙期や資金が多く必要な月を決算月にしないように設定ができます。

 

法人化するデメリットと注意点

「会社設立のデリット」は下記の4つがあげられます。

 

① 会社を設立する費用として、自分で手続きした場合でも24万円程度が必要になる。
株式会社の場合登録免許税などで24万円程度の費用が発生します。
司法書士へ依頼すると、さらに設立手数料がかかります。

 

赤字でも必要な均等割という税金が毎年8万円ほど必要になる。
個人事業では、赤字の場合は、所得税と住民税はともに0円です。
しかし会社の場合は、赤字であっても法人住民税として約8万円が毎年必要になります。
10年で80万円は必ず払わないといけないことになります。

 

社会保険への加入が義務づけられている。
これまでの「国民健康保険と国民年金」のセットから、
「健康保険と厚生年金」とのセットへ変更になります。
一般的に、社会保険である「健康保険と厚生年金」のセットになると、
その負担額は高くなります。
また、社員が増えるごとに会社負担分の社会保険料が増えるようになるため、
さらにその負担額は高くなります。

 

事務負担の増加し、司法書士、税理士費用などが高くなる。
会社を設立すると、これまでより事務負担が増えます。
また、会社の申告作業は、自分ひとりではできないレベルになってきます。
税務の専門家や労務の専門家の意見を聞きながら、事業をやっていくようになります。
これまでは、コストがかからなかった部分にもコストが発生します。

 

法人化するなら株式会社?合同会社?

会社を設立する際、
「株式会社」「合同会社」「合名会社」「合資会社」の会社形態がありますが、
このなかでも「株式会社」と「合同会社」がほとんどを占めるのではないかと思います。

 

両方とも
・1円以上の出資で
・一人でも設立可能
・税制面でも同じ

 

ですが、他の部分で違いがあります。
では、何を基準に決めればよいのか、、、
それぞれのメリット・デメリットで比較したいと思います。

 

【株式会社】
<メリット>
・社会的認知度が高い⇒人材募集や営業活動に有利

<デメリット>
・役員改選の義務あり⇒任期は10年まで延長できるが、10年毎に改選&登記費用が必要となる
・設立コストが高い⇒自分で設立しても24万円ほどコストがかかる

 

【合同会社】
<メリット>
・設立コストが安い⇒自分で設立すれば10万円ほどでできる。
・役員の任期がないため、改選&登記費用が不要

<デメリット>
・社会的認知度が低い⇒人材募集や営業活動に不利となる可能性がある
・名刺に「代表取締役」と名乗れない(代表社員となります)

 

上記より、下記に該当する場合は「合同会社」がお得に設立できるといえます。
①家族経営などで、外に向けての従業員募集を行わない
②会社名を前面に出さずとも営業活動ができる(お店の名前など)
③設立コストやランニングコストを抑えたい

 

現在では「合同会社」の設立件数も増えてきて、認知度も少しずつ高まってきたかと感じます。
しかしながら、今後の事業拡大にともない、
人材募集や取引先への営業を展開する計画があれば、
コストは多くかかっても、「株式会社」を検討したほうが良いかもしれません。

 

法人設立に利用できる助成金・補助金について

法人を設立して、事業を拡大しようとすると、多額の投資が必要となります。
経済を活性化するため、国や地方公共団体では補助金や助成金を用意して応援してくれます。
地域や業務内容、雇用創出などによって、事業活動を支援してくれることがあります。
ミラサポ(https://www.mirasapo.jp/)や自治体のホームページで検索してみてください。

 

日本政策金融公庫でも、新規創業にあたって有利な条件で融資を受けることができます。

 

ハローワークでは、優秀でも就労が困難な方(母子家庭、高齢者、障がい者)を雇用することや、
人材育成によるキャリアアップのための雇用を促す助成金も用意されています。

 

また、補助金以外にも中小企業庁による「中小企業経営強化税制」は
生産力アップにつながる機械などの投資を行うと、
法人税額控除や減価償却費を大幅に計上できるなど、支援策はいろいろとあります。

 

最後に

いかがでしたでしょうか?
法人化するにあたってはいろんなメリット・デメリットがありますが、
条件によっては、その大小に差が出てきます。
その人の家族構成やなどによっても変わってきます。
適正なシミュレーションを行って欲しい、自分に合ったアドバイスが欲しいという方は、
お気軽にフロンティア総合会計事務所ご相談ください。

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香川県高松市の税理士・会計事務所
フロンティア総合会計事務所  谷 英伸

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2017年8月21日 10:07 AM フロンティア総合会計事務所
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